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住まいに関する話や思いなど
住まいに関する話や思いなど
これまでに小冊子などに書いてきたものをまとめました。

癒しの住まい

私の癒し空間
 

*私の癒し空間/野木の家
 
 最近、「ヒーリング」という言葉をよく耳にします。日常生活、社会生活を営む上で私達は色々なストレスに直面します。こんなストレスの解消法もまた人様々、スポーツや趣味、あるいは旅行など各々リフレッシュの仕方を考えられている事と思います。一日の仕事をおえて帰宅するお父さん、家事で忙しいお母さん、塾通いの子供達、住まいはこんな家族をやさしく包んでくれるヒーリング(癒し)の原点で有りたいものです。またそう有らねばならないと思います。帰宅が夜遅くなってしまった時でも遠くから我が家の明かりが目に入るとなぜかほっとしたような気分を味わったり、家族旅行などでも我が家に帰り、畳や愛用のソファに腰を下ろし同様な経験を味わったことなど、誰しも記憶の中にあることと思います。 

 住まいの役割の原点は雨、風等の環境や外敵から身を守る所にあり、かつては木や土、草など身近にある材料で作られていました。工法や材料の発達した今日においてもこの基本的な役割は変わる事はありません。安心、安全、良好な環境等々を保障され私達の日々の生活は営まれています。住まいの安らぎ感はこの「安心や安全、良好な環境」とその中で営まれる私達の生活がからみ合った中からかもし出されてくるものではないかと思います。技術の進歩、流通の発達に伴い私達の住まいは木や土や草などから鉄やコンクリート、化学工業製品などにだんだんと置き換わってきました。ここまでは良かったのですがこの新しい技術による現代の住まいはどうやら私達の予想もしなかった所で問題を生じさせているようです。「シックハウス症候群」という名のかつては無かった新しい化学物質に対するアレルギー症が私達を脅かし始めました。この新しい建材は一見すると見た目がきれい、手に入れやすい等々、住まいの本質を忘れた営利優先の安易な住まいづくりの結果がこの「シックハウス症候群」を生み出す要因となっているのです。 

 これからの住まいづくりは忘れかけていた住まいづくりの原点を見なおさなければなりません。「安心や安全、良好な環境」を私達の住まいに取り戻さなければならないのです。鉄やガラス、アルミなどの新素材と共にかつて使われていた自然素材(木や土、草等)を含め、自然環境や生態系に配慮しながら新しい住まいづくりは行われる必要があると思います。 

 埼玉県には「西川材」といわれた杉や桧の一大産地である飯能や秩父の山々を抱えています。かつて裏山で採れた木で自らの家を作っていたように杉や桧といった私達の身近にある素材で家を作ることは誰にでも出来るのです。木の家の良さは改めて言うまでもないと思いますが、素材の持つあたたかみや色合い、肌ざわり等、安心感のあるものです。もちろん素材の良さだけに頼ってはいけません。きっちりと住まい手のライフスタイルに合った設計をしてこそ木々の育った飯能や秩父の森に身をゆだねるような安らぎ感のある住まいとなるのですから。 
 

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