住まいに関する話や思いなど
これまでに小冊子などに書いてきたものをまとめました。
三世代住宅
*坂野家住宅/常総市
親と子など二世帯が一つ屋根の下で暮らす二世帯住宅は比較的よく聞く言葉ですが、ここで言う三世代住宅とは三世帯が一つ屋根の下で住まうということではありません。これは私が勝手に、これからの住まいに対する提案としてつけたものです。現代の住まいの多くは30年前後で建て替えられています。家族の増減、建物や設備機器の老朽化等、理由はいろいろあるのでしょう。しかし少し待ってください。私達の住まいの為に木材をはじめ貴重な資源をこのようなサイクルで消費し続けたとしたらどうなるでしょうか?木材を例にとって見ますと植林してから柱や梁などの建材として使えるまでには早い場合でも40年から50年はかかります。大径材をとるためには100年以上の期間が必要です。
いま私達は住まいづくりを考える重要な要素の一つとして資源の再生産サイクルに見合った「住まいの寿命」というものと考慮する必要があると思うのです。三世代住宅と書いたのは、親から子、子から孫へと三世代(およそ百年)にわたって引き継げるような住まいづくりを考える必要があるのではないかということからなのです。そのままの形で残すということではなく、残すもの(主要なの構造体)と更新するもの(進歩が早く寿命が短い設備機器、家族構成によって変わってしまう室など)に分け、必要な部分のみを更新していこうと言う考え方です。次世代の住み手に、手を入れながらも大切に使っていきたいと思わせられるような愛着の持てる住まいづくりを模索していこうと思っています。