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住まいに関する話や思いなど
住まいに関する話や思いなど
これまでに小冊子などに書いてきたものをまとめました。

自然の力を利用する1

深い軒/友沼の家
 

*深い軒で日差しや雨風を防ぐ半屋外空間/友沼の家
 
 コタツや火鉢などで暖を取っていた時代から見ると、現代は便利な設備機器がたくさんあります。ルームエアコンなどと呼ばれるヒートポンプ式の冷暖房設備や、FF式の灯油暖房機、各種熱源を利用した床暖房設備など、どれを選んだら良いのか迷ってしまうほど色々な設備機器が市場に出ています。私たちの住まいをつくるにあたっても、これらの設備機器を当然の様に組み込んでつくられていますが、快適な住まいづくりに、本当に必要な設備とは何なのかを考えてみる必要がありそうです。 

 今のように、便利な冷暖房設備が出てくる前は、冒頭のコタツや火鉢といったものが一般的な暖房設備として使われていました。冷房に至っては近年の扇風機くらいで、それ以前はなにも無いに等しい状況でした。そんな時代にあっても快適に住まう為に、先人達の工夫はたくさんありました。 

 これからの住まいづくりを考えるにあたっては、便利で快適だからという理由だけで、新しい設備機器を導入する前に、貴重な資源とエネルギーを浪費しない、もっと賢い方法を先人達から学ぶべきであると思うのです。 

 日本の家屋は「夏をむねとすべし」といわれてきたように、夏の高温多湿に対する色々な工夫があります。深く出た軒先は夏の日射をさえぎり、雨から外壁を守ってきました。よしずや庭への打水も涼を求めた工夫のひとつでした。私も、近代建築のインターナショナルスタイルのような庇の無い四角い箱のようなモダン建築にあこがれた時期がありましたが、自然環境に対して技術で対抗するよりは、柳に風のように、自然に受け流す民家のようなつくり方のほうが、より良い方向なのではないかと思うようになりました。
 

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